先月の1月28日に行われた大坂国際女子マラソン、
松田瑞生選手が初マラソンで2:22:44という記録で
見事初優勝しました。
大坂が地元の松田選手にとって、たくさんの人が応援してくれ
恥ずかしいレースが出来ないという
極度のプレッシャーがかかるレースで
最後まで力強くダイナミックに走る姿を見せ、
凄い選手が現れたと世間では注目の的となりました。
松田選手のような陽気で明るいキャラクターは
低調気味の女子マラソン界に元気を与えてくれると思うので
今後も活躍して欲しいですね。
さて、
そんな陽気で明るい松田選手とは対照的に
物静かで淡々とレースをしていた安藤友香選手ですが、
結果は2:27:37という記録で
レース後のインタビューでご本人は凄く気落ちしていました。
私もレースを生中継で見て応援していたので
凄く残念に思ってしまいました。
安藤友香選手について、まだご存知ない方もいらっしゃるかと
思うので少し説明いたします。
安藤選手が初めてフルマラソンのレースに出場したのが
2017年3月に開催された名古屋ウィメンズマラソンです。
こちらのレースが安藤選手にとって
初めてのマラソンだったにもかかわらず
女子マラソン日本歴代4位の2:21:36というタイムを残し、
世界トップクラスのキルワ選手に次ぐ
2位という堂々たる結果を出しました。
結果もさることながら、注目されたのが
「忍者走り」と言われる走りで、
その走り方は手を下げたまま走る独特なフォームなのですが、
高橋尚子さんは、この姿を見て
「マラソンで走る完成形のようなもの」と言っていました。
その忍者走りについてですが、
気になる方は、冒頭の動画をご覧下さい。
高橋尚子さんの分析と私の分析をご覧頂けます。
さて、
そんな忍者走りの安藤友香選手ですが
名古屋のレースでまったく知られていなかった選手が
結果を残したことで、周囲の期待はヒートアップ、
マスコミもニューヒロイン現れると大々的に報じられ
安藤選手は時の人になりました。
「無名選手が世界を驚かせる!」
このようなフレーズはマスコミの大好物ですね(笑)
安藤選手はそのようなマスコミの対応に
人生で初めて極度のプレッシャーを
感じたことと思います。
その後、
周囲から好記録を期待されながら
出場した2017年8月のロンドン世界陸上では
世界の壁を感じます。
レース中盤20㎞地点でのペースアップについて行けず
17位という記録で大会を終えました。
この結果を受けご本人はもちろん、期待していた人も
心から残念な気持ちになったと思います。
その後は、
周囲の期待とは裏腹になかなか記録を残せない
自分自身と戦い続ける日々を過ごし
迎えた先月の大坂国際女子マラソンですが、
現役女子マラソン選手の中で最速と言われ
周囲の期待は安藤選手に集まり、
半端ないプレッシャーだったと思います。
その中で自分の持つ力を最大限に発揮しようと
挑んだのですが、日本人3位という不本意な結果に
なってしまいました。
一時は、安藤選手の事で大騒ぎしていたマスコミも
次第に「不調の安藤」というレッテルを貼り、
他に活躍した選手を持ち上げて世論を盛り上げます。
それがマスコミといえばそれまでですが、
どうか安藤選手は気持ちを切り替えて次に向かっていって
欲しいと思っています。
さて、
ここまでが安藤選手の説明になりますが、
なかなか調子が上がらないことが今は問題になっています。
もちろん、
このような結果になるには、間違いなく原因があり
安藤選手もコーチも懸命に解決しようと取り組んできたことでしょう。
ただ、
その原因を多くの人が「メンタルの弱さ」にしているようですが、
私はメンタルが弱くなるのは結果であって原因ではないと
思っています。
んっ?
「メンタルの弱さは、結果であって原因ではない?」
つまり、メンタルが弱いから弱いのではなく、
メンタルが弱くなるには何か他の原因があるということです。
少し分かりにくいので説明していきます。
人は、メンタルが弱くなるとこのような症状がでます。
「気分が落ち込む」
「調子が上がらない」
「やる気が出ない」
「雰囲気にのまれる」
「自己嫌悪」
「被害者意識」など
メンタルが弱くなる症状は人それぞれです。
また、その症状がすぐなくなる人もいれば、
長期間に渡って解決しない人もいます。
そのように長期間に渡って症状が解決しない人は、
精神科で薬を処方してもらったり、
メンタルトレーニングをしたりするのですが
なかなか解決しないことが多いようです。
それは、なぜか?
それは全て結果に対して処置をしているからです。
安藤選手で言えば、
「弱い自分に打ち勝つ為にたくさん走り込んだ」と
会見で言っていましたが、
本当にたくさん走れば弱い自分に勝てるのでしょうか?
事実、
大坂国際女子マラソンでは
25㎞地点でペースアップについていけず負けてしまいました。
「弱い自分に打ち勝つ為にたくさん走り込んだ」と言っていましたが
弱い自分に打ち勝つ前に、他の選手に勝てなければ意味がありません。
そのような問題解決の仕方では、
いつまでたっても不調から抜け出せないのではないかと
私は心配しています。
もし私が安藤選手の不調を改善する為に
アドバイスを求められるとしたら
以下のようなことを言うと思います。
それは、
自分のメンタルが弱くなる前に
他の選手のメンタルを弱くする練習をしなさい。
はっ?
良く分からないですね(笑)
少し説明します。
マラソンは42.195㎞を走り、誰が一番早くゴールできるか競う
スポーツですが、
ただ単に長い距離を速く走れば勝てるかというと
そんな単純なものではありません。
その日の気温や風向き、日差し、コースの高低差や道幅などの
気象条件に加えて、プレッシャー、選手の体調など様々な
変化があるなかで他の選手との心理戦に勝たなければなりません。
この辺りは、経験者にしか分からないマラソンの難しさが
あると思うので、素人の私には分からないことばかりです。
しかし、素人目線から言わせてもらえれば
世界で勝つマラソンをするには
名古屋のレースでキルワ選手が不気味な存在だったと
言わしめた安藤選手のヒタヒタした走りを追求するしか道はないと
思っています。
スピード練習や走り込みも大切なことではありますが、
今後は、もっとヒタヒタと走る時の「体の使い方」を極めていく
必要があるのではないかと私は思っています。
安藤選手は感覚が長けている人だと、
名古屋のレースでコーチをしていた里内さんが
おっしゃていましたが、私も同様に思います。
その長けた感覚をさらに研ぎ澄ますには、
現状の走りを理解してくれて、物凄い感覚が研ぎ澄まされた人に
指導を仰ぐべきだと思います。
走る時の感覚を共有してくれ、
一緒になって走りを極めてくれる人こそ
安藤選手を更に強くしてくれる人だと思います。
そのような人と走る時の感覚を具体的に改善する努力をして
走り込みやスピード練習をして走りを極めていけば、
自然とメンタルも強くなるのではないでしょうか。
ただ青春ドラマの様にたくさん走り込めばメンタルは強くなれると
練習を続けていては怪我の元になります。
過去の女子マラソン金メダリストはみんな最後は怪我で泣いています。
高橋尚子さんも言っていた「マラソンの完成形のような走り」である
安藤選手の走りは間違いなく怪我をせずに
成長し続けられる走りだと思っています。
ここ最近の成績の影響で
周囲からは走り方を変えるべきだと言われるかもしれませんが
私は今の安藤選手が求める走りを追求していけばよいと思っています。
2年後の東京オリンピックで最高の笑顔でゴールする為にも
周囲の雑音を消して、ひたむきに強くなる事だけを考えて
頑張ってください。
安藤選手へひと言
安藤選手がこのブログを読んでくれるか
分かりませんが、もし読んでいるとしたら上記の動画をご覧下さい。
大坂国際女子マラソンで負けた原因を分析しています。
動画では走る際に「左手首が上っていた」ことが
負けた原因だと言っていますが、
もちろんそれだけでが原因ではないのは百も承知です。
ただ、
給水失敗の原因は左手首が上へ上がった走りをしていたから
ではないかと推測しています。
あの失敗をたまたまで片付けて知らぬふりをするか、
走り方のミスで改善する努力をするかで今後は大きく変わってくるので、
安藤選手にはあの失敗を忘れないで欲しいです。
話を戻して、
私が安藤選手の走りを改善するとしたら
まずは左手首の使い方を改善します。
どのように改善するかというと
まずは、走る時の「腰と背中の使い方」をレクチャーします。
えっ?
手首の異常を腰と背中の使い方で解決?
このように疑問を抱くかもしれませんが、
今の安藤選手の走りは、腰を捻り過ぎていて、背中がまったく
使えていません。
腰と背中が上手く使えないと股関節の伸展に制限が出てくるため
名古屋のレースで見せた伸びのある走りができなくなります。
そして、
背中が使えない分、腕の力に頼って前へ進むことになるので、
無駄な腕ふりが出てきてそれがブレーキ動作になっています。
また、
股関節の伸展でスピードを上げていた以前の走りに比べて
今は股関節がつまっていて、スピードの変化にも対応出来ず
他の選手の動きについていくことができなくなっています。
これをどのように解決するか・・・
安藤選手だけが分かるように簡単に書いておきます。
腰を上下に動かし、背中を左右にふって、腕は下にふる。
安藤選手の感覚であれば、分かると思います。
もし安藤選手がこのブログをみて
もっと詳しく知りたいと思うようでしたら
ぜひご連絡下さい。
電話越しでもアドバイスできるかもしれませんが、
ご希望であれば安藤選手の練習場へ伺います。
世界と戦う為にも今までの常識を打ち破って
更なる成長の為にも、ぜひ私と一緒に練習しましょう!
私の気持ちが安藤選手に届くことを願っています。